この記事について
本記事は、現場で感じた雑感や日頃寄せられるお問い合わせへの回答をAIがまとめた読み物です。参考にしていただければと思いますが、内容は制度として正式に確定しているものとは限りません。不明な点がございましたら、お気軽にお尋ねください。
はじめに
TEM観察・分析に要する費用は、TEM試料を利用者側で準備し、経験者がセルフ利用する場合の数千円〜数万円程度から、バルク試料のTEM試料作製、観察および分析までを一括して依頼する場合の数十万円規模まで大きく異なります。
当室で、加工条件等が未確立の一般的なバルク試料について、試料作製法や観察条件の指定なく一括してご依頼いただく場合は、集束イオンビーム(FIB)装置によるTEM試料作製 約2.5日+JEM-ARM200Fによる観察・分析 約1日を、標準的な作業日数の目安としています。予算検討の初期段階では、1試料あたり20〜30万円台からを一つの目安としてお考えください。
本記事に示す費用の目安は、学内利用、またはARIM課題(データ共有あり)で、学術目的かつ成果公開を前提とする利用を想定しています。これ以外の利用区分では適用される料金体系が異なる場合がありますので、利用時点の最新料金表をご確認ください。
なお、ここで示す金額は定額料金ではありません。試料の性状、観察・分析目的、利用区分、技術支援の範囲等により、必要な装置利用時間および技術支援時間は増減します。
TEM分析にかかる費用の考え方
TEM観察・分析に必要な費用は、TEM本体の装置利用料だけでは決まりません。目的とするデータを得るまでには、試料の状態に応じて複数の工程が必要です。
試料採取・前処理 → TEM試料作製 → 予備観察 → 観察領域の探索 → 結晶方位の調整 → 像・電子回折データの取得 → EDS・EELS等の分析 → 必要に応じた追加観察・追加加工
どの工程を利用者が担当し、どの工程を技術支援として依頼するかによって、総費用は大きく変わります。
TEM試料がすでに作製されており、経験者が目的に応じた観察条件を判断できる場合は、必要な時間だけ装置をセルフ利用できます。一方、バルク試料をお預かりし、TEM試料作製から観察領域の探索、方位調整、観察・分析までを依頼される場合は、数日単位の専門作業が必要となります。
| 利用形態 | 費用の目安 | 主な実施内容 |
|---|---|---|
| 作製済みTEM試料のセルフ利用 | 数千円〜数万円程度 | 利用者が観察領域の探索、条件設定、像・電子回折データの取得、分析等を実施 |
| セルフ利用+一部技術支援 | 数万円〜 | 利用者が主体となって観察・分析を行い、必要な工程のみ技術支援を利用 |
| FIBによるTEM試料作製からJEM-ARM200Fによる観察・分析までを依頼 | 20〜30万円台からが一つの目安 | 試料作製から観察・分析までを数日単位の技術支援として実施 |
| 複数箇所からの試料作製、加工難度の高い試料、詳細分析、追加観察 | 作業量に応じて増加 | 追加の装置利用時間・技術支援時間が必要 |
依頼利用における標準的な作業工程と所要時間
一般的なバルク試料について、試料作製法、加工条件、使用装置、観察・分析条件等の指定がなく、当室側で工程を組み立てる依頼利用では、現在、次の作業日数を予算上の標準的な目安としています。
- 集束イオンビーム(FIB)装置によるTEM試料作製: 約2.5日
- JEM-ARM200Fによる観察・分析: 約1日
- 合計: 約3.5日/1試料
これは所要日数を保証するものではありません。同種試料の加工条件や観察条件が蓄積されている場合は短縮できる一方、加工難度の高い試料、再加工、複数箇所からの試料作製、追加の観察・分析等が必要な場合は、作業日数が増加します。
FIBによるTEM試料作製に2〜3日程度を要する理由
電子線透過可能な薄膜試料を得ることだけを目的とする場合、FIBの粗加工工程に高ビーム電流条件を適用することで、加工時間を短縮できることがあります。
一方、加工条件が確立していない学術研究試料では、イオン照射に対する試料の応答や加工損傷の程度が事前に分からないことがあります。加工速度を優先しすぎると、目的領域の消失、加工損傷、試料変形等により、観察に適したTEM試料が得られない可能性があります。
当室の装置利用料および技術支援料は成功報酬ではなく、実際に行った装置利用・技術支援に対して発生します。このため、加工条件が未確立の試料では、利用者の負担する費用を有効に活用する観点からも、処理速度より試料作製の成功率を優先して工程を進めることを基本としています。
利用者から具体的な加工条件をご指定いただくことも可能です。ただし、指定条件で期待した試料が得られなかった場合も、実施した装置利用および技術支援に対する料金は発生します。
TEM試料作製法とその選択
TEM試料作製法は、試料の形態、材質、観察目的、必要とする位置選択性や方位選択性等に応じて選択します。当室で利用・案内している代表的な方法として、分散法、粉砕法、電解研磨法、イオンミリング法、イオンスライサによる試料作製、集束イオンビーム(FIB)法があります。
分散法(支持膜への直接担持)
ナノ粒子分散液や、溶媒中に分散可能な粉末試料では、支持膜付きTEMグリッドへ試料を直接担持する分散法が適用できます。TEM試料作製法の中では、直接費を比較的低く抑えやすい方法です。
一般には、試料を適切な溶媒に分散し、必要に応じて超音波処理等で分散状態を調整した後、支持膜付きTEMグリッドへ滴下し、十分に乾燥させて観察します。直接費の中心はTEMグリッドと溶媒です。
粒径・形態、分散・凝集状態、結晶質/非晶質の判定、方位を限定しない高分解能観察等に適しています。一方、支持膜上に担持された粒子の位置や結晶方位は原則として選択できません。特定の晶帯軸、特定相、特定界面等を対象とする場合は、試料作製自体は低コストでも、観察領域の探索や結晶方位の調整に時間を要することがあります。
粉砕法
バルク試料を機械的に粉砕し、電子線が透過可能な薄片や微粒子を支持膜付きTEMグリッドへ担持する方法です。専用の薄膜加工装置を必要としないため、材料と目的によっては簡便かつ低コストにTEM試料を準備できます。
ただし、試料採取位置や結晶方位を指定することはできません。また、粉砕に伴う塑性変形、破砕、表面損傷等が観察結果へ影響する可能性があります。このため、バルク材料中の組織や界面を位置関係を保ったまま評価する用途には適さない場合があります。
電解研磨法
金属・合金等では、適切な電解液と研磨条件を設定することで、比較的広い電子線透過領域を得られる有効なTEM試料作製法です。同一または類似した材料系を継続的に扱う研究室では、電解液組成、印加電圧、温度、研磨終了条件等を確立することにより、多数の試料を効率よく作製できます。
当室の電解研磨装置は、閉鎖された所内研究室から移管された装置です。当室では、それ以前に電解研磨を共通利用メニューとして運用していなかったため、材料系ごとの電解液・研磨条件に関する知見が、共用設備として体系的に蓄積されているわけではありません。
また、当室内には、電解研磨を恒常的に実施するための局所排気設備(ドラフトチャンバー)や、使用薬品の保管・管理、廃液処理を集約して行うための専用環境を整備していません。このため、現在は依頼試料作製としての一括支援を行わず、電解液、研磨条件および薬品管理に関する知見を有する研究室等への貸出利用を基本としています。
イオンミリング法
機械研磨等により予備薄化した試料へArイオンビームを照射し、電子線透過領域を形成する方法です。当室には、Gatan PIPS II(B)、Fischione Model 1010等のイオンミリング装置があります。
酸化物、セラミックス、複合材料等のTEM試料作製に広く用いられ、材料ごとの加工条件が確立している場合には、FIBと比較して低い直接費で試料を作製できます。一方、通常は装置へ導入する前に、機械研磨等によって試料を十分に薄くする予備加工が必要であり、この工程にも材料に応じた技能が求められます。
当室では以前、イオンミリングによる依頼試料作製を一括して支援していましたが、現在は担当技術職員が不在のため、継続的な依頼試料作製には投入していません。現在は、技術支援員が装置状態の維持および動作確認を目的として必要に応じて運転することを中心としています。
イオンスライサによる試料作製
当室にはJEOL EM-09100IS イオンスライサがあります。イオンスライサは、比較的厚い試料からイオンビーム加工を開始できることが特徴で、特にバルク材料の断面TEM試料作製に適しています。
通常のイオンミリングに比べて厚い状態から加工を開始できるため、機械研磨で薄く仕上げることが難しい脆性材料にも有効です。同一または類似したバルク材料の断面試料を継続的に作製する研究室では、試料寸法、予備研磨、固定方法、イオン照射条件等を標準化しやすく、研究室単位で試料作製工程を標準化・定型化する用途に適しています。
イオンスライサについても、以前は依頼試料作製を一括して支援していましたが、現在は担当技術職員が不在のため、継続的な依頼試料作製には投入していません。現在は、主として技術支援員が装置状態の維持および動作確認を目的として必要に応じて運転しています。
依頼試料作製にFIBを標準的に用いる理由
FIB以外の試料作製法が技術的に劣るわけではありません。同一または類似した材料系を継続的に扱い、研究室内に試料作製条件と経験が蓄積されている場合は、電解研磨法やイオンミリング法等の方が低コストかつ効率的なことがあります。
一方、加工条件が未確立の試料を一件ずつ扱う共用施設では、材料ごとの予備加工、加工条件の最適化、TEMによる透過領域の確認、追加加工を繰り返すと、必要な作業量と所要時間を事前に見積もることが難しくなります。
FIBには、
- 特定位置からTEM試料を作製できる
- SEM像で加工位置・加工状態を確認しながら工程を進められる
- 界面、析出物、欠陥等の目的領域を選択して薄膜化できる
- 加工条件が未確立の試料でも、作業工程を比較的標準化しやすい
という利点があります。
このため、イオンビーム照射による損傷が問題となる材料や、分散法が適するナノ粒子等を除き、当室では加工条件が未確立のバルク試料を依頼試料作製として扱う場合の標準的な手法としてFIBを選択しています。
観察・分析目的に応じたTEM/STEM装置の選択
当室では、観察・分析目的に応じて複数のTEM/STEM装置を使い分けています。装置利用料だけでなく、必要な空間分解能、試料傾斜、電子回折、EDS・EELS分析、装置の取り扱いやすさ等を総合して装置を選択します。
| 装置 | 主な位置づけ |
|---|---|
| JEM-2000EXII | LaB6電子銃を備えた汎用TEM。大きなポールピースギャップを生かした高傾斜観察、電子回折、明視野(BF)・暗視野(DF)観察などに適する |
| EM-002B | LaB6電子銃を備えたTEM/STEM。ポールピースを着脱可能な構造を生かし、磁性材料など装置復旧性を重視する試料の観察に用いる |
| JEM-2100plus | 一般的なTEM観察、電子回折、高分解能TEM観察等に対応する汎用TEM/STEM。セルフ利用者の技能講習・習熟にも用いる中心装置 |
| JEM-ARM200F(S)/JEM-ARM200F(W) | 収差補正STEMによる高分解能観察、HAADF-STEM、EDS、EELS等に対応。形態・組成のスクリーニングから原子分解能観察・詳細分析まで用いる |
観察条件が未確立の試料における装置選択
材料系とTEM観察に十分な経験があり、必要な観察手法が明確な場合は、目的に対して必要十分な装置を選択することで利用料金を抑えられます。
一方、観察対象や観察条件が未確立の依頼試料では、まず汎用TEMで観察した後にJEM-ARM200Fへ移行すると、装置を変更するたびに観察領域の再探索や条件調整が必要となる場合があります。このため、明確な理由がない場合には、JEM-ARM200Fを用いて低倍率からHAADF-STEM像を取得し、必要に応じてSTEM-EDSマッピングを併用して形態と組成を対応付けた上で、対象領域を絞り込む方法を標準的な進め方としています。
装置選択では、装置利用単価だけでなく、目的とするデータを取得するまでの総作業時間、総費用、試料損傷のリスクおよびデータ取得の確実性を含めて判断することが重要です。
セルフ利用を基本とする運用方針
当室は、依頼分析のみを行う受託分析施設ではなく、利用者自身が装置を操作して研究を進めるユーザーファシリティとして運用しています。したがって、利用者が必要な技能を習得できる場合は、セルフ利用を基本としています。
セルフ利用には、
- 研究目的に応じて必要な装置を必要な時間だけ利用できる
- 試料を最もよく理解している研究者自身が観察領域を選択できる
- 観察結果に応じて、その場で次の観察・分析条件を変更できる
- 技術支援料を抑えられる
- 継続利用により、研究室内に試料作製・観察・分析の技能と経験が蓄積する
といった利点があります。
特に、観察条件が未確立の研究試料では、研究者本人が観察に関与することで、目的相・目的領域の選択や、追加観察・追加分析の要否をその場で判断できます。このため、セルフ利用は利用料金の面だけでなく、研究目的に対して適切なデータを取得するという点でも有効です。
TEMトレーニングと習熟の考え方
当室では、共用TEMを安全に、装置トラブルを生じさせず、所定の手順に従って単独使用するための基本操作について、標準化した技能講習とライセンス認定を行っています。
一方、装置操作を習得することと、研究課題に必要なデータを適切に取得できることは同義ではありません。
実際のTEM観察では、観察領域の選択、試料状態の判定、晶帯軸または二波条件への方位調整、撮像条件、電子回折条件、STEM条件、EDS・EELS分析条件の設定、さらに得られた結果に基づく次の観察方針の判断が必要です。これらは材料系や研究目的への依存性が高く、研究室ごとの観察ノウハウまでを共通の講習内容として標準化することは困難です。
このため、装置操作の講習後は、自らの研究試料を用いた立会観察や継続的なセルフ利用を通じて、材料固有の観察・分析経験を蓄積することが重要になります。
ライセンス認定は、あらゆる試料に対する観察・分析能力を認定するものではなく、共用装置を所定の範囲で安全に単独使用するための認定です。
共用TEMの安全利用と装置保全
TEMは、高電圧電源、高真空系、精密試料ステージ、各種絞り、試料ホルダ、高感度検出器等から構成される精密分析装置です。誤操作は、装置の一時停止だけでなく、真空系・試料ステージ・検出器等の損傷や長期間のダウンタイムにつながる場合があります。
過去の当室講習資料では、操作上の事故が装置へ与え得る影響の例として、EDS検出器の損傷で約300万円、試料ホルダの変形で約100万円、絞り・真空系の損傷で数十万〜100万円規模、カメラ検出器の焼き付きで500〜1,000万円規模となる可能性を示しています。
これらの金額は、現在の修理見積額や利用者への請求額を示すものではなく、過去の技能講習において装置損傷の影響を説明するために用いた例示です。実際の故障対応および費用負担は、原因、状況、適用される規程等に基づいて個別に取り扱います。
このため、技能講習では操作手順だけでなく、施設内の運用ルール、試料導入条件、真空状態の確認、試料ホルダの挿抜、検出器の保護、異常発生時の対応等も含めて習得していただきます。
共用設備としての装置利用料金の考え方
当室の装置利用料金は、大学の貸付基準等に基づき、装置の維持・運転に必要な経費と算定上の利用時間を基礎として設定しています。
概念的には、装置利用単価 ≒ 年間の維持・運転費 ÷ 算定上の利用時間という考え方になります。
年間の維持・運転費には、保守契約、修理、電力、冷却水、空調等の経費が含まれます。また、利用単価は、年間の利用時間をどのように設定するかによっても変わります。理論上の利用可能時間、実稼働時間、課金対象時間のいずれに近い値を採用するかによって、同程度の維持費であっても単価は異なります。
当室では、課金対象時間と実稼働時間の中間程度を算定上の利用時間としており、維持・運転に要する経費の全額を装置利用料金のみで回収する料金体系ではありません。また、利益を付加することを目的として料金を設定しているものでもありません。
他施設との料金差については、装置価格だけでなく、維持費の負担方法、組織からの補助、利用時間の算定方法等が異なることを考慮する必要があります。詳細な算定根拠および収支については、当室の公開資料をご参照ください。
依頼利用における技術支援料の考え方
当室はセルフ利用を基本として運用しており、依頼分析を主業務とする人員体制ではありません。セルフ利用では、装置操作、観察領域の探索、観察・分析条件の判断等を利用者自身が行うため、これらの作業に担当職員を継続的に拘束することはありません。一方、依頼試料作製や依頼観察・分析では、担当者が案件ごとに専門作業時間を確保する必要があります。
技術支援料は、概ね職員の時間当たり人件費を基礎として、依頼業務のために担当者を拘束する時間に相当する人件費を計上する考え方で設定しています。したがって、装置利用料が装置の維持・運転に関する費用であるのに対し、技術支援料は、セルフ利用では通常発生しない人的リソースの確保に対する費用という性格を持ちます。
現在、当室には専任の技術職員が配置されておらず、教員も装置管理および共用環境の維持を優先する必要があります。この体制で依頼観察・依頼分析を無償で恒常的に受け入れる場合、すべての案件へ対応することはできず、対応案件を選択せざるを得なくなるため、公平な共用運用が困難になります。このため、依頼利用および技術支援は、主としてCINTS/ARIMの支援枠組みで実施し、支援内容に応じた所定の技術支援料を設定しています。
FIBによる依頼試料作製では、自動加工工程を含め、加工状態の確認、進行状況の判断、異常時の対応、必要に応じた条件変更等が必要です。自動加工中であっても担当者が当該案件から完全に離れて別業務へ移行できる時間ではないため、原則として依頼利用ではFIBの装置使用時間と技術支援時間を同時間として計上しています。
一方、セルフ利用者が通常は自ら操作し、特定の工程のみ技術支援を受ける場合には、実際に支援を行った時間のみを技術支援時間として計上するため、装置使用時間と技術支援時間は必ずしも一致しません。
共同研究と依頼利用の位置づけ
共同研究としてTEM観察・分析を実施することも可能ですが、共同研究は依頼分析の代替となる料金制度ではありません。
共同研究の受入れは、研究内容、学術的意義、担当教員の専門性、研究・教育・装置管理業務との両立等を踏まえて、教員が個別に判断します。共用設備の通常利用のように、所定の利用条件を満たすすべての案件を一律に受け入れるものではありません。
また、共同研究であっても装置利用料等は原則として発生します。依頼利用との主な違いは、装置操作やデータ取得だけでなく、研究計画、観察・分析方針、データ解析、結果の学術的解釈等に教員が共同研究者として関与する点です。
ARIM/CINTSによる共用支援と外部利用
外部利用にも装置稼働時間および技術支援時間が必要であり、共用設備の有限な利用枠を使用します。一方、当室の共用体制を評価する際に、外部利用による装置占有時間だけを切り離して考えることは適切ではありません。
当室の主要設備には、ARIMおよびその前身事業等のプロジェクトにより整備された装置が含まれます。また、ARIM/CINTS事業に配置されたスタッフが技術支援を担っており、装置利用料・技術支援料による事業収入も、結果として共用設備全体の安定的な維持・運営に寄与しています。
したがって、外部利用の影響を検討する際には、現在の設備・人員・財源を維持したまま外部利用のみを除いた状態ではなく、ARIM/CINTSによる設備整備、人員配置および財源上の支援がない場合との比較が必要です。
当室では、設備整備財源および収支に関する情報を公開しています。詳細については公開資料をご参照ください。
利用コストを抑えるための考え方
利用コストを抑える上で重要なのは、装置利用単価だけを比較することではなく、目的とするデータを得るまでに必要な試料作製、装置利用、技術支援の総量を減らすことです。
1. セルフ利用を活用する
利用者自身が装置操作、観察領域の選択、観察・分析条件の判断を行うことで、技術支援料を抑え、必要な装置利用時間に限定して実験できます。また、研究者本人がその場で観察結果を判断できるため、費用面だけでなく研究上の意思決定の速さという点でも有利です。
2. 試料作製条件を研究室内に蓄積する
同一または類似した材料を継続的に扱う場合は、分散条件、機械研磨、電解研磨、イオンミリング等の試料作製条件を研究室内で確立し、再現可能な手順として蓄積することが有効です。試料作製を研究室内で実施できれば、共用施設では必要な観察・分析工程に集中して装置を利用できます。
3. 観察・分析目的を明確にする
依頼時に研究上の問いを具体化すると、観察領域の探索や不要な分析を減らすことができます。例えば、「この界面に組成変化があるか」「この粒子が結晶質か」「特定相の析出形態を確認したい」といった形で、必要とする情報を明確にしておくことが有効です。
4. 同一材料系の条件を標準化する
類似試料を継続的に扱うことで、FIB加工条件、観察領域の選定基準、結晶方位の調整方法、撮像条件、EDS・EELS分析条件等を蓄積できます。複数試料を扱う場合は、まず代表試料で試料作製・観察条件を確立し、その後に同条件を展開することで、試行錯誤を減らせる場合があります。
5. 目的に対して適切な装置を選択する
材料系と観察手法に十分な経験がある場合は、JEM-2100plus、JEM-2000EXII、EM-002B等を目的に応じて選択することで、JEM-ARM200Fを用いずに必要なデータを取得できることがあります。一方、観察条件が未確立の依頼試料について、装置利用料の低い装置から順番に試すことが、必ずしも総費用の低減につながるとは限りません。
6. 利用可能な支援制度を確認する
東北大学には、若手研究者等を対象とした共用設備利用支援制度があります。支援内容や適用条件は変更されることがあるため、利用を検討する際には最新の制度案内をご確認ください。
継続的にTEMを利用する研究室では、試料作製や観察・分析に関する技能を研究室内に蓄積し、必要な工程のみ共用設備を利用することが、総コストの低減につながります。
当室では、利用料金だけでなく、研究者自身による判断の質や研究室内への技能蓄積という観点からも、可能な範囲でセルフ利用を推奨しています。
利用相談にあたって
試料作製法や使用装置が決まっていない段階でも、ご相談いただけます。
その際には、可能な範囲で次の情報をご提示ください。
- 研究上確認したい事項、取得したい情報
- 試料の材質、形状、寸法、試料状態
- 観察対象とする位置、相、界面等
- 研究室側で実施可能な試料作製・観察工程
- 既知の加工条件、過去の観察結果等
これらの情報をもとに、試料作製法、使用装置、セルフ利用、立会支援、依頼利用等の組み合わせを検討します。
装置利用単価だけでなく、目的とするデータを得るまでの総作業量と総費用で判断することが重要です。
関連情報として、よくあるご質問をまとめた「TEM観察・分析、試料作製、利用料金に関するよくあるご質問(FAQ)」も合わせてご確認ください。
※この投稿はAIエージェントによって作成されています。